染織 いとをかし

糸を染め、着物や帯を織っています。染めや織りにまつわることや、日々のよしなしごとを綴ってまいります。

春一番

豆まきの炒り豆が大好きです。

歳の数だけじゃ食べたりない!もっと!もっと豆を!!

…と、思っていたなぁ(遠い目)

一気に食べるには多過ぎじゃ?と思うようになるなんて。そんな事を思う節分でした(笑)


先月織り上げたストールを仕上げました。

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緯糸で雰囲気が違い巻き心地が良いのは真綿のほう(下)見た目スッキリしてるのは片撚りのほう(上)かな。


次作の着尺はこんな色です。

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少しメタリックな茶色を目指しました。

染料はコーヒーにアセンヤクの重ね染め。媒染はおはぐろ(鉄)です。

濃い色に淡い雨が降る、ほんの小雨程度の雨絣・・・の予定でした。

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しかし思ったより本降り・・・あれ?(笑)まぁ、これはこれで好きな感じなので良いのですが。


染める時は、色のイメージが決まったら染料や媒染を考えます。

頭の中の引出しをひっくり返して、ああでもない・こうでもない…とブツブツ言いながら。

草木染めは同じ条件で染めても完全に同じ色を再現できないのですが、染める時は染料や媒染の濃度(染めるモノに対しての比率)は必ず記録に残しています。

記録と記憶に残すようにするのが大事だと思ってます。

あ、ちょっとカッコイイ風に書いてしまいました(笑)

自分が染めた時もですが、誰かが染めた良い色を見たら、何の染料でどんな比率だったのか…お聞きできる人だったら、迷惑をかえりみず!ネホリハホリお聞してしまいます。

ノートには、誰が書いた?と思うような、我ながら謎の数字が書いてあったりするので(笑)記録だけでなく記憶も大事ですね。

とは言え予定と違う色になることも多々あるのですけどね。

今回だと、コーヒーが思いの外強めの色になり(緑みのグレー)ちょっと戸惑いましたが、全体の色を赤みのない茶系にしたかったので気に入っています。

草木染めで出会う色は一期一会。

楽しい世界です。

気温が日替わりな日々ですね。


アジロの着尺ももうすぐ3丈。

平織りは織り始めると織り進めていく過程では見た目に変化がなく…気持ちはずっとワクワクしてるのですけどね。

無地や縞なども飽きてしまう人もいらっしゃるようなのですが、私はずっと同じでも(いや、むしろ同じが!)楽しいです。

染めのお話を。

今回の緯糸の濃い色は榎(エノキ)で染めました。

榎はニレ科の落葉樹。昔は一里塚にも植栽されていたそうです。

巨木になり大きな緑陰を作るので、きっと旅人の目印にもなり、木陰で休んだりしたのでしょうね。


剪定した枝葉を煮出します。

染液を空気を含ませるように、柄杓などを使ってジャバジャバーっと撹拌。

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左が煮出した時の色

真ん中が100回撹拌

右が200回撹拌

酸化してみるみる赤くなるのです!

実験してみたかったので、1~3煎目まで同じように撹拌して染めてみました。

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↑2煎目

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↑3煎目

1煎目が一番赤くなり、2煎3煎目は薄くクリアになるかな?との思惑と外れ、茶みが出ました。

実験なので同じ条件にしたくて、200回ずつ持ち上げてジャパーッと撹拌しましたが、軽い筋トレでした。さらに茶みが出てしまったので途中でちょっと後悔しながら(笑)

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左から1・2・3です。


染めは本や話で知ることも大事かも知れませんが、やはり経験しないと分からないものだな…と思います。

同じ染料でも染める度に、毎回なにかしら違う事を得られ楽しくて飽きないです。



新年

あけましておめでとうございます。

私の住む辺りでは晴天で穏やかな三が日でした。

冷たく空気が澄んでいる冬の夜空は、なんとも美しくまばゆいですね。


ストールのフサをヨリヨリしたり、糸巻きしたり、新たに織るものをボンヤリ考えながら年末年始を過ごしていました。

織りあがったストールは平織りとウネ織りで市松。

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透かさないと分かりにくいかな?と夕陽に照らしてみましたが…より分かりにくいかも(笑)まぁ、イメージ映像ってことで。

ゴバイシで染めた片撚りの糸で1枚と、シラカシで染めた玉糸で1枚。軽くても温かなストールになりました。

平織りが好きなのですが、ストールには地模様も良いかもなぁ。今年も色々と試していこうと思います。


そうそう、先月干し柿は無事に完成!

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出来立てを母と半分こして味わい(美味しかった~♪)あとはラップで包み冷凍庫へ。

ゆっくり・じっくり食べようと思ってます。うふふ。


昨年は、行ける時に行き、会いたい人には会える時に・・・と、痛いほど思い知った1年だった気がしています。

好きなもの・大切にしたいものには、もっともっと真摯に向かい合えるようになれたらなぁ…と思う年の始めでございます。

今年もよろしくお願いいたします。

干し柿

気づけばカレンダーも最後の1枚。早いですねぇ。


母の友人から渋柿をお試しに分けて頂いたので(8個ですが)人生初!干し柿を作っています。

あまり寒くない地域なのでカビるかなぁ…と、手を出せずにいたのですが今のところ順調♪

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1個だけ皮をむく時に既に柔らかめだったモノがあり、干して1週間ほどで少し破れていたのでナメてみたら甘い!

普通の柿(甘柿)でもヤワヤワ派の母に食べられてしまいました(笑)

日々の変化を愛でながら、カビチェック・乾き具合チェックしながらモミモミするのが近頃の楽しみです。


あ、着尺も織っています!

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久々のアジロ。やはりアジロは良いですねぇ。

細い木綿の模紗ストールも仕上げ、次は絹で多色の縞でウネ織りと平織りで市松模様に。

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寒くなりましたね。年末に向け忙しくなる時期。

お風邪ひかぬようご自愛くださいませ。

小雪

赤や黄色に色づいた木々が美しい季節ですね。

カサコソと地面を舞う落ち葉を見ると踏まずにはいられず、ドングリを見れば拾わずにはいられず、道を歩くのが忙しい季節です(笑)

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一崩しの反物が織り上がり、検反(糸の始末やお掃除)して後は地入れに出すのみ。

どこからが傷で、どこまでが味なのか…節糸の味わいの範囲については、毎度の事ながら悩みます。

織っている時には「これは味!」と思っているのに、検反していると「ううむ、これは傷かも…」と思えてきて。

細い木綿糸の模紗織りのストールも3枚織り上がりました。

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これからフサをヨリヨリして仕上げ。

もっとフワッとクシュッと、ラフな感じにしたかったのですが、なんだかお行儀が良くなってしまう…

織ってる人間のガサツさが欲しいのに…にじみ出る繊細さ?いや、糸が綺麗なだけなのですけどね(笑)

着尺もストールも反省点が色々あり、もっと糸の持ち味を布に活かせるようにしたいなぁ…と思っています。

次の着尺は可愛らしい色のアジロの紬です。

使用するのは6色の経糸と2色の緯糸

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冬に向かう中、優しい色と向き合えるのが楽しみです。

秋晴

お月さまが段々とふっくらしてきています。もうすぐ十三夜ですね。


ストールの3枚目、エンジ色とヒゲヒゲのある紺色の二本どりにしました。

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3枚織り上がったのでフサを作り仕上げ。

着物の時には肩にフワッと、洋服では首にクルッと出来るイメージ。

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人工芝(笑)だけ縮みましたが、肌触りは一番良いです。

絹の軽さのおかげで、薄くても暖かいストールになりました♨️

緯がウールなので、ほぼ分からないですがこんな縞でした。

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残った分で縞のサンプルに。

見ていたらふとこんな半襟も面白いかも?と。どうかしら?

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いつか、半襟にもなるストールでも織ってみようかと思っています。

芝感

日の暮れが早くなりましたね。


着尺を織りながら、ストールもボチボチ織っています。

今回の経糸はこんな感じ。

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絹で生糸の太細と節糸を取り混ぜて、けっこう派手な縞です。

今回の緯糸はウール。

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1枚目は下の緑のループのある糸。

芝生?いや、人工芝みたい!と思いながら織りました(笑)

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今は2枚目で黒・白の撚り合わせた糸。

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経糸のカラフルな縞に黒白の緯糸が入ると、ツイード風?にも見えてきたり、撚りの間隔が甘いところが柄に見えたりして面白いです。

多色な経糸なので、緯糸の色との組合せで思いがけない色のかけ算になります。

3枚目の緯糸はどうしようかなぁ…

経糸か絹なので、薄くて軽いけど暖かい布になりそうです。