染織 いとをかし

糸を染め、着物や帯を織っています。染めや織りにまつわることや、日々のよしなしごとを綴ってまいります。

長月

今年の夏は厳しい暑さですね。

日中はまだまだ暑い日が続きますが、吹く風は秋を感じるようになってきました。

 

着尺は暑くて進みが遅く、ようやく半分。

織ったら見えるかな?と思った縞ですが、ボンヤリしてますね…

汗を落とさぬよう気をつけながら織ってます。

こんなストールの試し織りも。

生成りで織ったので、このあと染める予定です。

そして過日、組み紐を初体験しました。

色々な加減が難しいですが、とても楽しかったです。今度、房を整えるのを教わり完成予定です。ワクワク。

 

気になる展覧会があり、涼しくなったら…と思っていましたが、いっこうに涼しくならない!

エイヤッと、出かけてまいりました。

虫めづる日本の人々

サントリー美術館・9月18日まで

 

増山雪斎の『虫豸帖』

写真と見紛うほど精緻な絵で、今回は夏のみ展示でしたが四季の全部が見てみたかったなぁ。

伊藤若冲の『菜蟲譜

パンフレットにもなっていますが大人気でした。

展示の絵はどれも、虫はもちろん描かれている草花も美しかったです。

虫虫虫・蟹・虫虫・蝸牛…と、絵の中に潜んでいる姿を発見し、場内の虫の音に耳を傾けたり、モビールの虫をシルエットで楽しめたり…視覚聴覚ともに楽しんできました。

せっかく都会に出たのでもう一つ!

恋し、こがれたインドの染織

大倉集古館・10月22日まで

 

19世紀のカシミールで織られたショールが圧巻でした。

細い羊毛での綴織。1枚織るのに3年かかるというのも納得な繊細さ。

イギリスやフランスで銅板プリントを用いて作られた「倣カシミールショール」との違いも興味深いものでした。

大倉集古館はとても久しぶりに行きました。

アレ?地下なんてあったかしら??

と思ったら、改修工事をされたのですね。

その工事の様子の映像が流れていて、これがとても凄かったです!

曳家で6時間かけて6メートル移動させ、免震工事と地下室を増築した後、元の位置に移動。

うわ〜、と声が漏れてしまう映像でした。

色々と目の保養をして充実な1日でした。

 

今月もまだ暑さが続きそうですね。

暑さの疲れもたまる頃。皆さまどうぞお気をつけて。

大暑

少し早起きして蓮の花を見てきました。

今年は開花が早いようで、もう散ってしまっている花もありましたが見られて良かったです。

 

さて、網代の着尺はようやく織りあがり。

次の着尺

あれ?無地に見える…細い縞です。久々に繰り返しパターンの縞です。織るのが楽しみ。

 

あとは珍しく!?こんなモノを織ってみました。

ミニコースターです。

冷酒とか

 

小さいカワイイものとか

乗せると楽しいかな?と。ふふふ。

麻のストール3枚も仕上げました(1枚は写真を撮る前にプレゼントしてしまった!)

年末に頂いたクスノキもようやく試し染め。次の着尺はクスノキにしようかなぁ。

左から、樹皮の1番液・アルミ媒染、2番液・アルミ媒染、1番液・鉄媒染、2番液・鉄媒染

そして昔々、かぎ針で編んだストールの余り糸が出てきたので、ちょっと遊んでみました。

緯糸藍染めの木綿糸で、なるべく詰らないように。

綜絖通しから織り上りまで4時間位!

たまに太い糸で織るのも楽しいかも?

 

いつもはやらない手順で試している事がありますが…やはり慣れないからか?今一つうまく行かない。うーん。

着尺の構想も練りつつ、織る前の試行錯誤が続く日々。

 

暑い暑い毎日です。

体調崩さぬようお気をつけて。

小満

急に暑く夏日かと思えば、冷たい雨が降ったり…不安定な陽気ですね。

 

先日、友人がチケットを手配してくれて(Kさま感謝!)話題の展示会へ。

クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ

東京都現代美術館(5月28日まで)

ディオール本人の作品より、その後の後継したデザイナーの作品が多め。

1番好きだった頃の作品が少なかったのが、ちょっと残念でしたが、展示空間が素晴らしくとても楽しかったです。

部屋ごとにテーマを設けられていて、まるで舞台を見ているような凝った演出。

シーチングを使った仮縫いの展示が圧巻でした。

撮影OKなので動画撮影をする人が多数。

人の波にヘコタレた私は写真も撮らず「夢の」というタイトル通りの美しい空間を、ポカーンと眺めてました。

唯一撮ったのが、壁を飾るこのグラデーション。

ドレスじゃないんかいっ!(自己ツッコミしつつ)とても美しかったです。

 

時間があったので、東京ステーションギャラリーへ移動。

大阪の日本画展(6月11日まで)

着物の柄の、特に絞りの描写の繊細なこと!胡粉で描かれた柄はポッテリした質感。初めましての絵が多かったのですが、こちらも楽しく拝見。

 

織りもいちお?!進んでます!

グレー8色とブルー1色の縞も織り上がり検反。

次はこんな崩しを織り始めてます。

小さい柄なのでアッブで!

そして帯揚げの整理をしていたら、同じ色を数枚持っていたり、この色は使わないなぁ…というものがあったので、思いたって化学染料で染め重ねしてみました。

染める前を撮り忘れる痛恨のミス!

淡いピンク系のボカシやカラシ色など。

元の色を考慮して色を重ねて自作の着物に合いそうな色に。

せっかくなので、織り上がった反物に自作の帯を合わせパシャリ。

こんな感じ♪

なかなかの満足度で使うのが楽しみです。

補給

桜も散り、藤の花が咲き始めています。

鶯もだいぶ上手になってきました。

 

2月の教室展と3月の日本茜の展示会も、お陰様で盛会で無事に終わりました。

大きなイベントが終わり、ホッとしていたら時間が秒で流ていました!

御礼が遅くなりましたが、お越し下さった皆さま、お心がけて下さった皆さま、お世話になりました方々、本当にありがとうございました。

日本茜の展示の頂いたスペースの様子はこんな感じでした。

そして、ええベベ着たお染ちゃん(左が化学染料・右が日本茜と藍染)

京都から戻り、久しぶりの散策に。

日本民藝館「生誕百年 柚木沙弥郎展」

無印良品銀座店「田中達也 ミニチュア展」

2つの楽しい展示をハシゴ。

柚木さんの燕が力強く可愛く。

この子なら問題なく渡れる!という感じ。頼もしい。

バーナード・リーチのスケッチもとても素敵でした。

また別の日

東京国立近代美術館70周年記念展

重要文化財の秘密」

横山大観の「生々流転」は全長4070センチ(40メートル)墨の色がとても美しかったです。

高村光雲の老猿の握りしめた羽根!

 

大好きな鈴木長吉の鷹は久々の再会!

宮川香山の蟹は思っていた以上に蟹。リアル!

 

常設展示で岸田劉生の蕪図

初めて見ましたが素敵だったなぁ。

草間彌生「天上よりの啓示」

色々と見て回るのは楽しいですが、気力と体力が必要。ようやく少し日常に余裕が出来て、刺激を沢山もらい、目にも気持ちにも栄養補給した気分です。

 

過ごしやすい気候になりましたが、まだまだ不安定な陽気ですね。皆さま体調にお気をつけて。

 

如月

如月の語源には様々な説があるようで。

『衣更着』寒さに衣を重ねる

『気更来』陽気が戻る時節

木の成長に目を向け『木更生』さらに万物が萌え動きだす『萌揺月』など。

近所では河津桜も咲き始め、今年は開花が遅かった梅も満開になり、語源の由来のように季節が春に向けて動いている事を感じます。

 

そして2月は逃げる!

まさにバタバタし過ぎで何が何やら…あっという間に半ば過ぎてしまう!逃げられてしまう!

そんな事を思いながら、近くの川にいる鴨を眺めたり。

今年はキンクロハジロホシハジロが混成チームでいるのをよく見ます。

 

今週は携わる織りの教室展があります

2月22〜25日

銀座サロン・ド・ジーにて

こんなん出します(その他2点)

そして来月。

昨年も参加させて頂いた、日本茜伝承プロジェクト展示会があります。

3月3〜8日

京都・知恩院和順会館にて

今年のテーマは『藍と茜』

日替わりでギャラリートークやワークショップ(草縁のよし子嬢によるブータンのカード織り体験!)もあります。

私は藍染めの着尺とストール、日本茜のストールを出します。

ストールはこんな感じ。

日本茜。あぁ、逆光(笑)

こちらが藍染め。

反物は相変わらず?!写真にうまく写らない・・・青色は補整されるのでしょうか?かなりグレーに見えますが、藍染めと憲法染めの三崩しです。

どちらもお近くに行かれるご用のある方、ご興味のある方は、是非お立ち寄り下さいませ。

 

また寒くなるようですね。

寒暖差が大きい時期。皆さま御身体おいといくださいませ。

新年

昨年お世話になりました皆さま、ありがとうございました。

今年もよろしくお願い申し上げます。

 

住まう地では青空の穏やかな三が日でした。

穏やかな1年になると良いですね。

 

さてさて、年末年始は(も?)藍の反物とストールを織っています。

ストールは同じ経糸で織り方を変えながら。

こんな感じとか

こんな感じ

まぁ、分かりにくいのですが…この違いで、どのくらい風合いが違ってくるのかな。

ストールは本当に正解があるような、ないような感じなので、とにかく試すのみ!

 

年末にクスノキを頂きました。

まだ織るものの構想が固まらず…

ちょっと削ってみました。

良い香り〜。癒やされる〜。

そして芯がハート!なんだかとても嬉しくなりました。うふふ。

初めて染めるので楽しみです。

冬の藍

すっかり冬の寒さになってきましたね。

じゃじゃ~ん

立派!

一昨年・昨年に続き、母の知合いからお裾分けして頂きました。

干し柿第二弾!いそいそと干しまして、今は2回りほど小さくなってきています♪

ちょっと干し柿ブログになってますが、ちゃんと?!染織もしています。

 

多色グレーを織るべく綜絖通しを終えたところで、ふと指をおり逆算。

ううむ…間に合わないかも?

よし、順番を変えよう!と、急ターン。

 

今年参加させて頂いた

『日本茜伝承プロジェクト展示会』

来年もお声がけ下さり、参加することになりました。

来年のテーマは「茜と藍」

反物はなくても良いかなぁ…と思っていたのですが、やはり寂しいなぁ…と。

そこで二十年前に染め、グッスリ眠っていた藍染めの糸が経糸1反分と、緯糸は1反分の半分(当時の私よ、何を考えていたのか?)ありまして。

藍染めだけの着物・帯は普段は織らないのですが(縞などに少し入れる事はあっても)不足分の緯糸を草木工房で染めさせてもらえ、せっかくの機会なので藍染めの反物を織ることにしました。

藍染めの上にヤマモモの鉄媒染を重ね染め(憲法染)

上が経糸(生糸)下が緯糸(真綿糸)

 

憲法染(吉岡染)は緑味の黒。

本来は楊梅だけで染めた黒といわれたそうですが、後に藍下の上に楊梅で染めた黒のことをいうようになったそうです。

 

藍は縹(ハナダ)色くらいの下染だと良かったのですが、経糸は若干薄く、緯糸は濃く。

それぞれ黒というよりは、緑味が強かったり、青味が強かったり(写真だと実物と違って見えていますが‥色は写せませんね)

下染の色味の影響を知ることが出来てよい勉強になりました。

急いで巻いて、整経。

この糸の並び(紙管が賑やかなのは気にしないで下さい)

三崩しです。

崩し好き!あまり柄が見えない説もありますが、楽しく織っています。

あとは日本茜と藍、それぞれストールを何枚か織る予定です。

今年の冬は藍と一緒に過ごします。