染織 いとをかし

糸を染め、着物や帯を織っています。染めや織りにまつわることや、日々のよしなしごとを綴ってまいります。

気温が日替わりな日々ですね。


アジロの着尺ももうすぐ3丈。

平織りは織り始めると織り進めていく過程では見た目に変化がなく…気持ちはずっとワクワクしてるのですけどね。

無地や縞なども飽きてしまう人もいらっしゃるようなのですが、私はずっと同じでも(いや、むしろ同じが!)楽しいです。

染めのお話を。

今回の緯糸の濃い色は榎(エノキ)で染めました。

榎はニレ科の落葉樹。昔は一里塚にも植栽されていたそうです。

巨木になり大きな緑陰を作るので、きっと旅人の目印にもなり、木陰で休んだりしたのでしょうね。


剪定した枝葉を煮出します。

染液を空気を含ませるように、柄杓などを使ってジャバジャバーっと撹拌。

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左が煮出した時の色

真ん中が100回撹拌

右が200回撹拌

酸化してみるみる赤くなるのです!

実験してみたかったので、1~3煎目まで同じように撹拌して染めてみました。

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↑2煎目

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↑3煎目

1煎目が一番赤くなり、2煎3煎目は薄くクリアになるかな?との思惑と外れ、茶みが出ました。

実験なので同じ条件にしたくて、200回ずつ持ち上げてジャパーッと撹拌しましたが、軽い筋トレでした。さらに茶みが出てしまったので途中でちょっと後悔しながら(笑)

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左から1・2・3です。


染めは本や話で知ることも大事かも知れませんが、やはり経験しないと分からないものだな…と思います。

同じ染料でも染める度に、毎回なにかしら違う事を得られ楽しくて飽きないです。