染織 いとをかし

糸を染め、着物や帯を織っています。染めや織りにまつわることや、日々のよしなしごとを綴ってまいります。

新緑

日に日に新緑が美しくなる季節ですね。


3月の京都でお世話になりました皆さま、ありがとうございました。

知恩院さんの参道には大きな沈丁花が咲いていて、とても良い薫りでした。

いま見ると冬の景色ですねぇ。

久しぶりにお会い出来た方や、初めましての貴重な出会いもあり、楽しく勉強になる時間でした。


京都から帰り、母と家の近くのお寺さんへお花見に。桜が満開でとても綺麗でした。

が!桜の写真がない?!

池の周りで日向ぼっこ中の亀とアオサギだけしか撮ってないという…(笑)

綺麗なモノを見ると見惚れて、色々とボンヤリしてしまうようです。

同じ方向を見る亀

キリッとしたアオサギ。池に桜の花びらが浮いてますね。


先日、東京国立近代美術館鏑木清方展を見に行ってきました。

行きましょうねー、と言いながら会期の終盤になってしまいましたが、Kさまのお誘い&フットワークの軽さで助かりました!

持つべきものはサササッと色々機敏な友ですねぇ。有難や。

「築地明石町」久しぶりに嬉しい再会。

黒・お納戸色にちらりと紅。本当に美しいです。

襦袢を着ておらず、足もとも素足に塗りの下駄。どんな物語を切取った瞬間なのかなぁ‥と妄想・想像しながら。

新富町」も袖口からちらりと見える襦袢や、ちらりと見える羽裏。

着物ならではの、ちらりの素敵さ・美しさに改めてヤラれて参りました。

眼福・眼福。


グレーの縞の着尺もようやく織り上がりました。

ギリギリまで織りたい派です(笑)

今は頼まれもの(試作)に取りかかってます。織ったことのない糸を使うので、なかなか難しいので探り探り。

暑いくらいの日もあれば、まだ少し肌寒い日も。

不安定な陽気ですので、皆さまご自愛くださいませ。

眼福

梅が散り、木蓮が咲き始めましたね。


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茜のストールは合計6枚織り(頑張った!)着尺数反と無事に西へ。

19日からの展示会に参加させて頂きます。

第4回 日本茜伝承プロジェクト展示会

知恩院 和順会館ギャラリー

3月19日~23日

10~17時(最終日16時)

21~23日は会場に居る予定です。

先週は準備やらなにやらでグンニャリする中、現実逃避?で目と心の栄養補給に出かけました。

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「春をまとう」

近藤好江 染織展

まぁ素敵なこと、素敵なこと。

(大事なことなので2回言う!)

ほんのりですが手順を想像出来るぶん、もう頭がクラクラ。

すっきりしていて、奥行きがあり…本当に素晴らしい作品の数々。

21日(月)までコレド室町の「ちばぎんギャラリー」で開催されています。

もし、お近くに行かれる方はぜひぜひ!


続いて田島享央己さんの個展

「スローなお絵画にしてくれ」

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これまた素敵素敵!

彫刻の作品もですが、彩色が…なんと言うのか、ドリーミング!

写真OKですよ、と言って下さるのですが、この美しさは撮れない(写らない)のですよねぇ(でも1枚だけ撮る)

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小さなスペースでしたが沢山のお絵画が並んでいて、ゆっくりジーーーックリ眺めました。

そして係の方に声をかけられる…不審者だったか?

長く観てる方はファンの方だと思って…と優しい方でした(笑)

マスク越しにニヤニヤしながらお話をお聞きして、作品の裏側まで見せて頂く。

さらに冊子(左の)も頂戴してしまい(一番お気に入りの子が表紙!)幸せでした。

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素敵なモノをたくさん拝見して、心満たされる時間でした。

如月

梅もようやくほころび、寒さの中にも春の気配が漂い始めましたね。

2月は逃げる..という言葉の通り何かをしているような、いないような。気づけば2月もあとわずか。

グレーの縞はこんな感じで織っています。

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コナラの1煎目(ピンクっぽく見える)が目立ちますね。しかし縞は楽しいなぁ。

そして、久しぶりに整経のご依頼をいただき、糸をお預かりして整経しました。

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(お預かり物なのでモノクロです)

自分の時も間違わないように緊張感はありますが、人様のものは更に緊張します。

間違わないことは当たり前なのですが、やはり間違わずに無事を確認できるとホッとします♪

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糸の本数も多かったので(通常の2倍)自分の時よりちゃんと計算して、準備をしっかりしました。

綺麗に整経してあると、織る時もトラブルがなく、綺麗に織り上がるように感じています。

染めや織りをしてから、途中で何か誤魔化したり、無理矢理な帳尻あわせのような事をすると、後々に響いてくる…と、体感して得た教訓です。

謹賀新年

昨年お世話になりました皆さま、ありがとうございました。

今年もよろしくお願いいたします。

住まう土地では、キリリと冷たく澄んだ空気で青空の新しい年の始まりとなりました。


晦日は伊達巻を作りつつ、コナラとアラカシで染めた糸の糊いれ。

その糸を捌きながらの年越しを過ごし、元旦は糸巻き・・・まったく変わらぬ日々の延長ですが、そんな時間を過ごせることが幸せな事でもあります。


さてさて昨年末は日本茜を染めました。

生の掘りたてホヤホヤを送っていただき、半分は冷凍・半分は乾燥させてみました。

先ずは冷凍したモノ

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左から一晩浸した水(ボール)と煮出した1・2・3煎の染液

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染めた糸

左から生糸(1・2・3)真綿糸(1・2・3)

そして乾燥させたモノ

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左から一晩浸した水(ボール)と煮出した1・2・3煎の染液

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染めた糸

左から生糸(1・2・3)真綿糸(1・2・3)


写真だと違いが分かりにくいですが、浸した水は乾燥させたモノのほうが黄色みが強かったです。

この水も、もったいないなぁ…と思ったので(貧乏性)熱して、染めに終わった1・2煎目の残液と混ぜて帽子真綿を染めました。

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赤いモコモコが冷凍のほうです。

真綿は浸していた水に赤みがあったからか、冷凍のほうが赤くなりました。

糸は乾燥させたモノのほうが赤みが強く、色がクリアに感じました。

どちらも3煎目で黄色が抜けてきて、ピンク方向に。次くらいには可愛いピンクになるのかな?

煮出した後の茜は干しておいたので、後日あと2煎くらい染めてみよかな…と思ってます。


寒さが厳しくなってきましたね。

皆さまお風邪ひかぬようご自愛くださいませ。

銀鼠

冬の夜空は空気が澄んでいて月や星が綺麗ですね。

今年も母の知人からお裾分けして頂き(10個ですが)干し柿作りました。

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干し柿は食べるのも大好きですが、作るのが楽しい!

無事に出来たので、母と1個ずつ(正確には半分こを2回)食べてあとは冷凍して、来年チマチマ食べます♪


ようやくアラカシ染めました。

乾燥してしまったので(早く染めれずゴメンよぉ)茶みがどうなるかなぁ…と思いつつ。

コナラ同様1・2・3…と5煎まで煮出し、おはぐろ媒染(鉄媒染)

左から1~5煎目で染めた糸です

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茶みが抜けるのは次辺り?まだ、ほんのり茶みを感じます(写真だと写らないですねぇ)

不思議だったのが、4煎の後で次は薄くなって銀鼠になるかな?と思った5煎目。なんだか濃くなった?

コナラの時もなんとなく4煎より5煎目が濃く感じたので(気のせいかと…)何が起きているのか…また他の樹木でも試してみたいと思っています。

染めは謎が多く、難しく楽しいです。

しかし銀鼠への道は遠い…

先日のコナラとこのアラカシで、次作はグレーの反物を織る予定です。


そして…ドドーン!

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日本茜です。ご縁があり、日本茜で作品を作ることになりました。

せっかくなので、ちょっと実験もしてみようかと思ってます。

今年の年末年始は赤い糸に囲まれて過ごすことになりそうです。

小楢

山茶花も咲き、道には落葉も増え、日に日に秋が深まりますね。

剪定したコナラとアラカシを頂き、コナラが細い枝先だったので(乾燥し始めていたので)先に染めました。

コナラもアラカシも、ブナ科コナラ属。アラカシは常緑樹でコナラは落葉樹です。

コナラの木材は、しいたけ栽培の原木、薪や炭材によく使われるそうです。

コナラを染めるのは初めて。

せっかくなので1・2・3…と、煮出した液を各々分けて染めてみました。

左から1・2・3の染液(コナラの葉っぱを置いてみました)

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同じく左から1~3煎目で染めた糸

媒染はおはぐろ(鉄媒染)

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1煎目の色がなんと表現したらよいのか…紫がかった不思議色。2・3煎目と徐々にグレーに。

この次くらいにはシルバーグレーになるな…と思い、後日4・5煎目を染めてみました。

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4・5煎目はほぼ見分けがつかないシルバーグレーに。

初めて染める染料は、なるべく煮出した回数(お料理で言うところの、一番出汁・二番出汁のようなものをご想像ください)を混ぜずに染めてみるようにしています。

そうすると、この染料は煮出すごとにどんな方向に行くのか…がなんとなく分かるので。それでも今回の色は「今年の」「この月に剪定した」「この場所で育った木の」色なので、あくまでも目安なのですけどね。育った場所でも違いますし、その年の天候によっても違うので、本当に出会いもの・一期一会だなぁ…と思います。

そして煮出している時の香り、色の変化など、小さな発見の積み重ねが草木染めの楽しさです。

どんな色かなぁ…と思いながら染めるのは、本当に楽しいものです。ふふふ。

次こそはアラカシを染めるっ!

しばらく秋の染めシリーズ(しかもグレー系ばかりの!)になりそうです(笑)

臭木

空が高く、夜が長くなりましたね。


秋は藍のほかに青色が染まる、貴重な染料である臭木(クサギ)の季節です。

住んでいる近所を探していて、なかなか巡り会えなかったのですが…先日お墓参りに行った時に発見。

去年も同じ時期・同じ場所を通ったはずなのに気づけなかった…ただ終わりかけだったので採取できず。

来年は採りに行くぞー、と思っていたところお宝を頂きました。

(Tさま、誠に感謝・感謝です!)

私はまだ冷凍庫に隠し財産?で持っていたので、染織教室で欲しい皆さんにお裾分け。喜んで持ち帰ってくださいました。

せっかくなので手元に残った熟しきれていない実と、ガクを染めました。

実は熟すとラピスラズリのような深い色になりますが、今回は未熟でまだ緑色や白っぽいモノを煮出してみました。

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こんな感じの淡い色の実↑

ガクは1・2・3煎をそれぞれ鉄媒染しました。

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左から1・2・3の染液で、上の赤いモノがガクです。

実は優しい水色、ガクの1煎目はシルバーグレー、2・3煎目は少し緑みを感じる綺麗なグレーに染まりました。

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手前から実・ガクの1・2・3です。

赤いガクからこんなに美しいグレーが染まるのは、いつ見ても不思議です。

剪定したアラカシも頂いたので早めに染めたいと思っています。

秋の贈り物にワクワクです。