染織 いとをかし

糸を染め、着物や帯を織っています。染めや織りにまつわることや、日々のよしなしごとを綴ってまいります。

秋晴れ

空が高くなり気持ち良いですね。

緊急事態宣言も解除され展示会のお知らせも続々と。

ちょうど会場も近く会期が重なっている所を巡って参りました。

先ずは「染 織 革 三人展」

銀座ギャラリー 江(29日まで)

織りの大熊眞智子さんの手紡ぎ木綿等を使われた着物・帯・小物を拝見。

糸の風合いも色も素敵で、素材の魅力とそれを活かした作品の数々を拝見できて眼福。

中でも過去の作品の布帳にあった蚊絣の素晴らしさ!

マスクの中で、ひゃ~と思わず声が出てしまった(笑)

その後は道明組紐作品展に。

お知らせを下さったSさまの作品は、ご自身で草木染めなさった作品。とても繊細で優しげで素敵でした。

沢山の作品が並ぶ壮観な展示で、同じ組み方でも色の組合せ・配置で印象が全く違うのが不思議で興味深かったです。

存じ上げているSさま、Mさまのお母様の作品も拝見することが出来て、とても楽しかったです。

そして最後は大好きな田島亨央己さんの展示へ。

銀座蔦屋書店(30日まで)

「好きの虫の住むところ」

立体は3体、あとは絵画数点の展示。

以前(代官山だったかな?)会った綺麗なお姉さんの像に再会。

後ろ姿が!肩甲骨と背中の窪みが!やはり本当に美しい。

そして絵画。

コラージュのネギの質感!

そして「泥棒リス」に釘付けでした。

彫刻もですが、どうしたらあんなに美しい色と質感が出せるのか…天才だなぁ、としみじみ。

マスクがあって良かった!と思いながらニヤニヤ鼻息荒くグルグル観て参りました。

撮影可能でしたが写真も撮らずに見とれてきました。

なので?ストール3枚が仕上がった写真を(笑)

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今は同じ糸使いで密度違いを織っています。

色々と素敵なモノを見ると、頑張ろうと思う刺激を受けるとともに、自分は何をしているのだろう…と考えさせられたり。

もの思う秋です。

秋分

十五夜のお月さま、綺麗でしたねぇ。


夏に強撚糸(字の意味そのままに=強く撚りがかかった糸)を使って、なにか良い感じの布が織れないかなぁ…と実験?していました。

が!これがなかなか難しい。

糸を活かした布にするのは本当に悩ましいことだらけ。

なんとなく帯揚げっぽいモノが織りあがりましたが、研究の余地がたんまり。

とにかく織ってみるしかないですね。

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糊を落とすと縮みます(下が織りあがり・上が糊を落とした後)

なんだかフリフリでラブリー?な、強撚糸をいれていない部分のところで試してみたかった事が出来たのが収穫!

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ココ!

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ココの為に頑張った?(笑)

この織りかたをポイントにした帯を織ってみようかなぁ、と考えています。

次はこんな縞でストールを織っています。

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好きな秋色でまとめてみました。

暑さの戻る日もありますが、だいぶ涼しくなり、さらに好きな色だと織りも楽しく進むなぁ、としみじみ思う秋の入口です。



白露

日の入りが早くなりましたね。


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なんだ、このムチムチな手は…

いや、それはさておき。

ようやく反物が織り上がり、先日の糸をドラム整経しました。

巻き取る前に全体の張りを確認している所です。ムチムチ。

緩んでいるようなら微調整をします。

今回は少し密度の高い筬にしたのですが・・・

め、め、目が。

乱視も進み、さらにお年頃な問題も現れはじめ、焦点をどこに定めた眼鏡を作ったら良いのか…非常に悩ましい。

一先ず間違えないように慎重に通し終え、無事に間違いなく織りはじめました。やれやれ。

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織りはじめた全体像ですが…アップにしないとわからないですね。こんな縞です。

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初めての糸使いなのですが、好きな感じの質感。縞も久々で嬉しくなります。

織る過程も織り上がりも楽しみです。

儚く強く

数年前に聞いて、1度見てみたいなぁ…と思っていた花を見ることができました。

稲の花です。

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2~3時間しか咲かないそうです。

フワフワというかヒヨヒヨというか…これが一粒一粒のお米になるのかと思うと、不思議と儚く強く、そして尊いものに感じられますね。


木綿の着尺は密度と緯糸をもう一考しなくては…と棚上げ中。

次とその次の糸染め・糊いれ・糸巻きなどをしています。

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左2綛が経糸。隣が緯糸の真綿糸。

アセンヤクと栗イガの重ね染めの焦げ茶。もともとの生成りをピンストライプに。

初めて使ってみる細い絹紡糸なのですが、ちょっとヌメッとした触感なのです。これが真綿糸を織り込むとどんな風合いになるのか、ちょっと楽しみです。

右側はその次に織る予定の経糸の一部。エンジュのアルミ鉄媒染です。合わせる色はこれから染めるので、組み合わせてみてさらに悩むかも?と思いながら、今のところは思っていた色に染まり、ホッとしています。

織る時には玉管を使うのですが、整経や綛あげするほど残らなかった糸(主に経糸)は、自作の紙管を使っています。

1番の理由は経費削減(笑)

ドラム整経していると、どうしても短い残糸が出来てきます。

その保管と整理は管でしておくと使いやすいのですが、本数が沢山必要に。暇な時に作っておきます。

色んなサイズ・色を作っておくと便利なので、サイズ別にしています。

マイ紙管コレクション↓

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織っている反物も残り数尺。暑すぎてノロノロしていますが、もう少し。汗を落とさないよう、怪しげな姿で織っています。

別の意味で鶴の部屋で、見ないで下さい!な感じです(笑)

コロナも豪雨も心配です。

皆さまどうぞご無事で。

少し前は梅の実が、最近ではヤマモモの実が道に落ちはじめる季節ですね。

なかなか進まぬ着尺ですが、残り3分の1強になりました。

いつも悩む所は同じなのですが、今回はなんだかいつも以上に悩みながら織っています。

真綿糸の悩ましさ…節をどこまで取り除くかを考え始めると、正解が分からなくなります。

自分が許容範囲を決めてしまえば良いのだとは分かっているのですが…それが難しいです。

かなり前に頂いた染色済み(化学染め)の細い絹糸で、模紗織りでストールも織っています。

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気の迷い?ふとした思いつきで、経糸を黄色から青のグラデーションに。

写真はドラム整経が終ったところです。

無駄に?整経に時間がかかりましたが楽しかったです(笑)

しかし経密度が粗めなので、実際に織るとあまりグラデーションが活かせないという…ま、勉強だもんっ(強がり)

夏に織ろうかな、と木綿の反物の縞割を考え中。細縞をランダムに見えるように構成します。

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ランダムを感覚で出来たらカッコイイのですが…どうしても癖や好みが出てしまうのですね。ですので、あらかじめ縞のパターンを数種類作って配置していきます。

近い色の色鉛筆でイメージを描きますが、実物の糸でも縞を並べてみました。

f:id:someori-m:20210629003018j:plain紙の台紙に糸を巻き付けたもの…ええ、めっちゃアナログですが、自分にはこれが一番分かりやすいので。

こちらも、かなり昔に買った染色済みの木綿糸。

織り人アルアルだと思うのですが、気づくと何故か糸が沢山ある…買った記憶がないのに増殖してる?!

それらを形にしていく計画です。

やみくもに織るのではなく、素敵なものに出来たらなぁ…と思ってはいますが、どうなりますやら。

ま、ハードルが上がってしまったら、跳ばずにくぐろうかな(笑)

一服

梅雨入りのニュースも聞こえてくるようになりましたね。

ボンヤリとしてるうちに、あっという間に月日が流れて…織りは亀の歩みですが進めてます。

先月末に着尺(雨絣)が織り上がりました。

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この状態になるとあと一息!

上の写真は織り終りの糸のシッポが見えている状態なのですが、ここからが思ってる以上に長い(織り人あるある!)

今はみじん格子を織り始めてます。

なるほど、こう見えるのか…と、想像と現実の差を見て唸っております…この、思う通りにいかない所が苦しさであり、楽しさでもあります。

ストールも引き続き細い木綿で保多織り。f:id:someori-m:20210515233012j:plainこれがいまだに模索中で、なんとなく迷いが…そうなると集中力が途切れがちに(言い訳)

前に買ってあったモノを発見し、ベランダで一服。

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ま、シャボン玉ですが(笑)

住まいが風が強い地域なのですが、下に落ちたと思うと↓上昇気流で上がり↑ビュンッと横に飛んだり→

予測不能な動きで、面白くて気づけば1本空になってました(笑)

小さい頃からシャボン玉が大好きだったなぁ、部屋でやって怒られたなぁ、と記憶もよみがえり(笑)リフレッシュ しました。

卯月

道を覆う桜の絨毯も少なくなり、陽当たりの良い場所ではツツジが咲き始めています。春は1日ごとに進んでいますね。


模紗織りのストール3枚を仕上げました。

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フサを一気に3枚分をヨリヨリしたのですが、単純作業は好きなのですが、これは飽きる!

織りの作業中は音を聞かない…正確には聞けない?派…フサを作る時・絣をくくる時は音が欲しくなります。

基本的に根性ナシ+流され侍なので、つい現実逃避で積んである本などに手がのびそうになります。

音を聞いてると、区切りの良いところまでは頑張ろうと思えます。

耳心地の良い声だったり、ノリノリになれる音楽だったり。好きなモノを聞いてテンション上げてやりたい作業です。

本も音楽も新規開拓はあまりしないので、昔から好きなモノを何回繰り返しても飽きない人間で良かったなぁ、などと思いながら楽しくヨリヨリしました(笑)

次の反物の糸を染めました。

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上2綛が経糸(生糸)・下2綛が緯糸(真綿糸)です。

染料はキンモクセイとラックダイ。

キンモクセイは普段は秋に剪定した枝葉を使いますが、今頃の季節に剪定したモノを染めるのは初めて。

季節もあるのか?剪定しから少し時間が経っていたからか?ちょっと茶みが出ました。淡いグレーを狙っていたのですが、グレージュくらいでしょうか。

合わせる色(ラックダイ)を少し調整して、この組合せなら…と思える色になったので良かったです。

みじん格子なのですが、目の錯覚?くらいの絣が入ります。

効果があるやなしや・・・楽しみです。